院長ブログ

油断大敵!むし歯の話・むし歯予防とフッ素

■油断大敵!むし歯の話

最近は定期健診を受けて、むし歯がなく良い状態を保っている漢書さんが増えてきています。ところが、突然むし歯ができる、しかもたくさんできることがあります。別に歯みがきをさぼっていたわけではありません。何故でしょうか?

Aさんは就職後いそがしくなり、久しぶりに来院すると、歯と歯の間に多くのむし歯ができていました。これは仕事で車に乗る時間が増え、その間に微糖のコーヒー1本をチビチビ飲んでいたのが原因でした。

高齢のBさんはがん治療を受けている間にむし歯が増えてしまいました。がんがむし歯を作ったわけではありません。がん治療の副作用でお口が乾き、あめが手放せなくなっていたからです。

C君は中学卒業まではむし歯はありませんでした。しかし高校に入りしばらくして来院すると、むし歯がたくさんできていました。特に甘いものは食べていないとのことでしたが、詳しく話を聞くと、クラブ活動で先生からこまめに水分補給をするように言われていました。

ただ、この飲み物がいわゆるスポーツドリンクだってのです(ほとんどのスポーツドリンクには糖分がたくさん入っています)。

いずれの患者さんも甘い物の取り過ぎがむし歯の原因になることは知っていましたが、生活や環境が変わった時にそのことを忘れ、知らないうちに甘い物がお口に入っていたようです。

少量の甘い物でも長い時間お口の中にあると、あっという間にむし歯ができてしまいます。

勿論甘い物は楽しみであったり、エネルギーになったり、気分転換になったりと良い面もありますが、長い時間お口の中に入れないように気をつけましょう。

大切な歯を長持ちさせるためには、かかりつけ歯科で定期健診をうけ、食生活のアドバイスや、お口の病気の早期発見早期治療をしてもらうとよいでしょう。

■むし歯予防とフッ素

虫歯予防としてよく知られているものにフッ素があります。特に生えたての歯のエナメル質は成熟しておらずフッ素の効果が高いとされています。
現在フッ素はほとんどの歯磨き粉に含まれており、フッ素入りでない歯磨き粉を探す方が難しい状況です。すなわち、歯磨き粉を使用していると知らず知らずのうちにフッ素による虫歯予防を行っていることになります。1990年代の歯磨き粉は30%から50%の製品にしかフッ素が入っていませんでした。

フッ素を使ったむし歯予防の方法にはフッ素洗口、フッ素塗布などがあり、歯科医院あるいは保健所、学校等で行われています。近年歯周病により歯肉がやせ、歯の根の部分のむし歯が多くみられるようになりました。この根の部分のむし歯予防にフッ素の効果が再認識されるようになってきました。

また、フッ素はむし歯予防だけでなく、ごく初期のむし歯に対してもむし歯を抑制するという効果があります。これは歯の再石灰化を促す効果があるためです。しかし、穴があいたようなむし歯には効果がありません。むし歯の予防は穴があく前の段階での話ですのでお間違えなく。

2015年9月より病院の薬の成分を市販薬に転用したスイッチOTC薬剤として虫歯予防用のフッ素洗口市販薬が薬局で販売されるようになりました。これにより歯科医院でしか購入できなかったむし歯予防薬が薬局でも購入できるようになりました。フッ素によりむし歯予防は子供だけでなく大人にも有効です。

しかし、フッ素だけに頼るむし歯予防は危険です。むし歯はいろいろな要因で起こる病気です。そのため予防にはいろいろな方法を組み合わせることが必要です。むし歯予防を確実にするために定期的に歯科医院を受診、自分に適した予防法の指導を受けることをお勧めします。

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