院長ブログ

くさび状欠損・知覚過敏症

こんにちは。守口市 泉田歯科医院 歯科医師 院長の泉田です。今日のテーマは「くさび状欠損・知覚過敏症」です。ご参考になれば幸いです。

くさび状欠損

テレビで歯の知覚過敏症が紹介され、話題を呼びました。その原因は歯の頸回り(歯頸部)にできるくさび型をした三角形の欠損(くさび状欠損)で、歯をコーティングしているエナメル質の構造が破壊され、内部の象牙質が露出している状態です。象牙質にはエナメル質との境目から俗に「歯の神経」と呼ばれている歯髄に至る管状の構造(象牙細管)があり、これが露出すると温冷刺激が歯髄に伝わり、一過性の疼痛をひきおこすことになります。

くさび状欠損の成り立ちには二つの道筋があり、一つは過度のブラッシングによるものです。歯周病などですでに歯肉が退縮し、歯根が露出している場合は、強いブラッシング圧と硬い歯ブラシ、歯みがき剤に含まれる研磨剤のはたらきで、歯根表面を覆っているセメント質は容易に摩耗して、くさび状欠損を形成します。セメント質の高度は象牙質とほぼ同じで、エナメル質ほど硬くありません。

もう一つは異常な咬合力による歯頸部エナメル質の破壊です。就寝中の歯ぎしりや食いしばりなど悪習壁がある患者では、異常な咬合力が歯に働き、歯頸部付近には強い応力がかかります。そのためエナメル質の微細構造あるエナメル小柱が崩壊し、エナメル質の剥離が始まります(アブフラクション)。エナメル質はダイヤモンドに次ぐ硬度があり、ブラッシング程度で摩耗することはありませんが、エナメル質が破壊されて内部の象牙質が出てきてしまうと、先ほどと同じ経過をたどって、くさび状欠損が形成されることになります。

くさび状欠損を起さないように定期的な検診を受け、ブラッシングのチェックをするとともに、歯ぎしりや食いしばりには噛み合わせの調整やナイトガードというマウスピースによる治療が必要です。

知覚過敏症

くさび状欠損が形成されると象牙細管が露出するため、温冷刺激や蝕刺激に対して知覚過敏が起こります。従って、露出した象牙細管をふさぐことが、近く過敏症に対する治療法になります。

まずブラッシングを徹底し、常にプラークがない状態をキープしておくと、だ液中のカルシウム分が沈着して再石灰化が起こり、象牙細管の閉鎖が期待できます。知覚過敏症専用の歯磨き剤やフッ素配合のジェルは効果がありますが研磨剤を含む歯磨き剤は象牙質の摩耗に追い打ちををかけるのでお勧めできません。くさび状欠損が浅く、後々むし歯になる心配がなければ、閉鎖のみで十分かもしれません。

ある程度深いくさび状欠損は、合成樹脂などで充填する必要があります。現在、合成樹脂の材質や接着技術の改善が進み、丈夫で外れにくい充てんができるようになりましたが、エナメル質ほどの硬度はありませんので、過度なブラッシングが改善されないと再び摩耗してしまいます。

歯肉が退縮して審美性があるようでしたら、外科的にくさび状欠損部を歯肉で覆い、知覚過敏と見た目を同時に回復する歯周外科手術という方法もあります。また、アブフラクションが原因でくさび状欠損が生じている場合は、歯にかかる異常な咬合力を解決しないと、充填物が脱落(再発)したり、別の歯に新しいくさび状欠損ができたりしてしまいます。就寝中に装着するナイトガードと呼ばれるマウスピースが有効です。

知覚過敏症は、お口の中の温度の差が大きいときに起こります。歯磨くの後、体温と同じ温度のぬるま湯で口をすすぐと過敏症は起こりませんが、冷たい水道水ならてきめんです。冬、温かい室内から外に出て、冷たい空気を口で吸うとジーンときますので、マスクなどして冷たい外気を遮断してください。

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