こんにちは~、12月になり一段と寒くなってまいりました。体調にお気をつけください。院長の泉田です。今日のテーマは「口呼吸の影響・歯ぎしり・口臭」です。ご参考になれば幸いです。
口呼吸の影響
子どもがポカンと口を開けてテレビを見ていることがあります。口で息をする癖は歯に悪いでしょうか?
鼻で息をする、口で息をする、というように、私たちは二つのルートで息をすることができます。けれどもアレルギー性鼻炎などにより、鼻が詰まり(鼻閉)鼻呼吸が難しいときには、当然口呼吸しなければならなくなります。鼻閉が起こるような状態は耳鼻科で改善しなければなりませんが、鼻閉が改善された後も口呼吸の方が楽なので、口呼吸が癖になっている子どもも多くみられます。口で息をする場合には当然口を開けていなければなりません。このことが口腔内に影響を及ぼして、歯科的な問題を乗じさせます。
口呼吸が続くと、前歯(特に上の前歯)の部分が乾燥して、だ液により虫歯の原因菌を洗い流したり、だ液による抗菌的な作用が弱くなるので、むし歯ができやすくなります。さらに口で息をする場合には舌が上あごのドーム状の部位(口がい)におさまらず、低い位置(低位舌)をとるので、上の歯が並ぶアーチ(歯列弓)が狭くなり、上あごの発育も悪くなり、歯並びに強く影響すると考えられています。
このように口呼吸は歯科的な問題を生じさせる悪習癖ですので、子どもが口呼吸する癖があるようなら、口を閉じて鼻で息をするのが正しい呼吸であることを教えてあげてください。
歯ぎしり
寝ているときに歯ぎしりをしているようですが歯のために良くないのではと気になるのですが。
睡眠時の歯ぎしりや歯を食いしばる癖は、歯科ではブラキシズムと呼ばれ、なんら機能的目的を持たない習癖の一つと考えられています。ブラキシズムは決してめずらしいものではなく、先人の10%は家族の指摘により自覚があるようです。しかし、軽いくいしばりや音のしない歯ぎしりも多いとされ、ブラキシズムに関連する状態や症状は、実に80%~90%の人に認められるといわれています。
睡眠時のブラキシズムは必ずしも悪癖とはいえず、近年の研究では不安やストレスにより交感神経が働いている緊張状態を、歯を噛み合わせることを引き金に副交感神経を作動させて、結果として緩和しているのだという説があります。けれども睡眠中の歯の嚙み合わせでは、意識して噛む力の6倍もの力が歯に加わる場合もあり、歯が以上に磨り減ったり、歯の周りの組織にダメージを与えたり、顎関節に悪影響を与えることがあると考えられています。
睡眠時のブラキシズムを根本的になくすことは難しいとされていますが、歯科では歯に加わる異常な力から歯(人工的な歯も含みます)を守るために、故人に合った薄いプラスチックの板(ナイトガードと言います)を装着するのが一般的です。歯ぎしりについても心配があればご相談ください。
口臭
口臭症には、大きく分けて二つの状態プレビュー (新しいタブで開く)があります。まず他人が不快に感じる呼気を実際に発している状態と他人には何にも感じられないのにご自身で口臭を発していると思う状態です。国際分類では口臭発するものとして生理的口臭症(6%)と病的口臭症(70%)が有るとされています。
口腔内で口臭が生じるメカニズムは、歯周ポケットや舌苔(舌の表面についた汚れ)に存在する細菌がタンパク質を分解・代謝して臭いのもとである揮発性の硫化物が発生することにあります。これらの細菌は夜寝ている間にふえる傾向にあるため、起床時に強く口臭を感じたりします。
治療法としては、生理的口臭症であれば、ほとんどが一過性のため航空清掃のみで解決されることがよくあります。病的口臭症の場合は、歯周病の治療や口腔内の衛生状態の改善を目標とした治療を行います。さらに口臭の原因が副鼻腔炎や扁桃炎、糖尿病など口腔以外にある場合には、医科への紹介も必要になります。
一方、実際には口臭を発していないものとして仮性口臭症(22%)、口臭恐怖症(2%)があります。仮性口臭症では専門のカウンセリングを行ったり、より重症化した口臭恐怖症では心療内科や精神科での治療が必要になることもあります。
口臭は、お口の悩みごとの4位にあがっているように、ときには大きな悩みとなります。一度、かかりつけの歯科医院で相談されることをお勧めします。