院長ブログ

メタボリック症候群と歯周病の関係・インプラントも歯槽膿漏になるの?

 メタボリック症候群と歯周病の関係

最近巷では、お茶から炭酸飲料まで、脂肪を吸収しにくくする特定保健用食品が大ブームです。また、メタボリック症候群の予防のために始まった、いわゆる「メタボ健診」(特定健診・特定保健指導)が2008年4月より行われています。

メタボリック症候群(以下メタボ)は、食べ過ぎや運動不足など、悪い生活習慣の積み重ねが原因となって、内臓脂肪型肥満(りんご型肥満)を共通の要因として高血糖、脂質異常、高血圧症が引き起こされる状態です。それらの症状がいくつか重なると、心筋梗塞や脳卒中などの命に関わる危険な病気を招くこともあるのです。

メタボの人は歯周病にかかりやすく悪化しやすいことが知られています。歯周病は、お口の中の歯周病菌が揺れて抜けてしまうことさえある怖い病気です。そして最近の研究で、歯周病はメタボの進行をより悪化させ、危険な病気を招く可能性を高めることも分かってきました。歯周病菌が作り出す毒素が血液中に入り全身に回って、心臓病や脳卒中、糖尿病、肺炎などを引き起こすこともあるのです。

メタボ予防は、食生活の改善、十分な睡眠、禁煙、適度な運動など、生活習慣を改善することが基本となります。歯周病の予防は、メタボの予防にも大きく関わっています。原因となるプラーク(歯垢)を日々の歯みがきで丁寧に除去し、歯科医院で定期的に歯石除去を含めた健診を受けることが大切です。

また、よく噛んで食べることは、殺菌・洗浄効果のある唾液の分泌を促し歯周病の抑制につながると同時に、満腹中枢が刺激されて食べ過ぎの予防にもなります。メタボと歯周病を双方から予防することで、おいしく健康な日々を送ることができるのです。

インプラントも歯槽膿漏になるの?

スウェーデンにあるルンド大学の教授であったブローネバルクが、1952年にチタン金属が拒否反応を示すことなく骨と結合すること=オッセオインテグレーション=を発見し、その後イエテボリ大学にて研究し、純チタン製のデンタルインプラント(以下インプラント)を開発しました。65年には純チタン製のインプラントの臨床応用が開始され、今現在50年余りが経過します。

彼の功績は、ノーベル賞にも値し「デンタルインプラントの父」と呼ばれたのですが、2014年12月20日享年85歳でこの世を去りました。

現在、ブローネマルク教授が開発したブローネマルクシステムを基に世界中でさまざまなインプラントが開発され、その数は100種類以上、コピー品も含めると300種類を超えるともいわれています。今ではこれらのインプラントも多くの患者様に受け入れられ市民権を得るようになりました。その構造もまた先に述べたオッセオインテグレーションをさらに強固なものとして進化を成し遂げ、顎骨(がくこつ)の中での安定性と成功率を高めています。

しかしながら、歯槽膿漏(歯周病)により歯を失った患者さんの場合には口腔内に歯周病菌が多く存在するため、インプラント治療を行った際、再びそこにプラークが付着し歯周病菌が繁殖しやすい環境となります。つまり、インプラントの歯周病=インプラント周囲炎である感染症に羅漢するのです。

これを防ぐためには、日頃から口腔内のブラッシングをしっかりと行い歯周病菌を減らしておくことが重要です。

歯を失ってしまってから歯の大切さに気付くのではなく、いま、しっかりと口腔内ケアを行うことが、将来のインプラント治療の成功につなげる秘けつであることを知っていただければ幸いです。

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