こんにちは。守口市 泉田歯科医院 歯科医師 院長の泉田です。ご参考になれば幸いです。
歯周病と全身疾患
歯周病が糖尿病などの体の病気に悪影響を与えるということを耳にしました。本当なのでしょうか。以前は病気にかかっていると歯周病の直りが悪いと言われていました。現在では糖尿病をはじめ心臓病や脳血管障害などの循環器系疾患、肥満やメタボリックシンドローム、肺炎やインフルエンザ、誤嚥性肺炎などの呼吸器系の疾患と、ほぼ全身にまたがる病気に影響を及ぼしていることが分かってきています。早産や低体重児出産にもつながるとされています。
人間は上下左右それぞれ7本ずつ、合計28本の永久歯をもっています。もしこれらすべての歯が歯周病に侵されて深さ5ミリの歯周ポケットがあるとすると、その面積はおよそ2.6平方センチ×28=72平方センチで、大人の手のひらと同じサイズになります。ポケツト内面は一部が潰瘍化して絶えず出血傾向にあり、口腔内の細菌にさらされています。たとえば「手のひらサイズの炎症面が24時間365日細菌にさらされている」状態が歯周病という病気です。
歯周病にかかるとこのポケットから絶えず大量の病源菌と内毒素、ケミカルメディエータ(炎症のある歯肉で作られる成分)が供給し続けられ、毛細血管に侵入して体中を巡ることになりますので、全身に影響が出て当然だといえるでしょう。細菌が直接、心臓内膜に付着すると細菌性心内膜炎になります。細菌やケミカルメディエータが動脈硬化を招き、心筋梗塞や脳梗塞が起ります。
また、ケミカルメディエータの一種はインスリンの働きを抑制するため、血糖値が上がって糖尿病が悪化することが分かっています。定期的な歯科検診で予防し、健やかな人生をお送りください。
スポーツとマウスピース
オリンピックではいろんな競技でマウスピースをつけている選手がいましたが、どのような効果があるのでしょうか?スポーツで用いられるマウスピースで最も歴史があり、なじみのあるものと言えばボクシングのもののでしょう。
1920年代にマウスピースが導入されてからボクシングの試合で歯が折れることが激減したことはよく知られています。近年は、ラグビーやアメリカンフットボールなどのように強いボディーコンタクトを伴う競技やホッケー、ラクロスなどステックを用いる競技では東部や、歯のけがを予防するために使用を奨励・義務化されるようになりました。
口腔の障害を予防するという意味でマウスガードとも言われす。一般には無色透明の物が多いようですが、女子ホッケーの選手が赤や青など目立つ色のものを入れていたのを記憶されている方も多いでしょう。
女子ソフトボールの上野投手もマウスピースをつけていましたが、これは外傷予防よりもパフォーマンスアップを目的として歯科大学で開発されたものです。実際にこのマウスピースを装着することでより速い球を投げられるようになったといわれています。
他にもウエイトリフティングや陸上競技のようなボディーコンタクトを伴わない競技でも、噛み合わせを改善して運動能力を向上することを目的にマウスピースを使っている選手も多くいました。このようにオリンピックではマウスピースがスポーツ時の外傷予防のみならず運動能力の向上にも役立つことが広く認知されるようになりました。
マウスピースには市販の既製品もありますが、歯科医院で型を取るカスタムメイドのもののほうはより精密に合わせることができます。興味のある方は、かかりつけの歯科医院で相談されてみてはいかがでしょうか。