院長ブログ

即時義歯とは・顎骨骨髄炎とは?

即時義歯とは

即時義歯とは歯を何本か抜いた直後に、入れ歯を入れるやり方のことです。即時義歯は取り外して清掃する必要のある義歯(入れ歯)の作製法をいいます。義歯は失われた歯の部分を人工的に補う装置ですが、通常は義歯を作成する前に、どうしても残すことが不可能な歯があれば抜歯する必要があります。抜歯すると薗部分の傷が治るのに1~2ヶ月は必要ですので、義歯の作製は傷が治るのを待たなければなりません。しかし一日でも歯がないのは困るというケースもよくあります。

たとえば上の前歯を3本抜かなければならない場合を考えてみましょう。前歯3本が1~2ヶ月ない状態は見た目にも機能的(話をする時など)にも、耐え難いことが想像されます。

このようなときには即時義歯の出番になります。即時義歯とは抜歯した直後(まだ出血が止まっていなくても)に装着することを目的にした義歯のことです。前歯3本を抜かねばならない状態であっても、歯を抜く前に歯型を取り、石膏の模型上で歯を抜いた状態を想像して義歯を作るのです。そして義歯が出来上がってから歯を抜きその場で義歯を装着します。装着された義歯は抜歯された傷口を保護する役目も果たします。

けれども即時義歯は抜歯された後の状態を想像して作るので、実際の口の中の状態とは誤差が生じます。つまり入れ歯のうちメント粘膜の間にすき間ができます。このすき間は抜歯の傷の回復とともに、義歯を修理して埋めるようにします。即時義歯は奥歯にも、多数の歯が失われている場合にも可能ですが、全てのケースで可能なわけではありませんので、具体的には歯医者さんでよくご相談ください。

顎骨骨髄炎とは

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の薬を飲んでいるとき、歯科医院での治療には注意が必要です。
骨粗鬆症の薬にはカルシウム製剤や活性型ビタミンD製剤などいくつか種類がありますが、骨粗鬆症の第一選択薬であるビスホスホネート製剤(以下、BP製剤)を服用されている方は、歯科治療にあたって注意が必要です。

BP製剤を投与されている方に抜歯などの外科的処置を行うと、まれに治りが良くないことがあります。普通は抜歯した部分は血餅で覆われ、その後、肉が盛り上がり、粘膜や歯槽骨が再生して治癒しますが、BP製剤を投与されている方の中には、この治癒過程がうまくいかず、歯ぐきの下の歯槽骨が露出したままになり、口の中の細菌が歯槽骨から顎の骨に感染して難治性の骨髄炎を引き起こす場合があります。さらに炎症が強くなるにしたがって痛みが増し、膿が出てきたり、顎の骨が壊死してしまうことが報告されています。

予防法は、歯科医院で定期的に受診し、歯周病やむし歯に対する治療を受け、口腔内を常に清潔な状態に保っておくことがもっとも重要です。しかし3年以上BP製剤を服用していたり糖尿病やリウマチ、腎炎によるステロイド剤等も服用しているなど、他にも病気がある方は顎骨骨髄炎を起こす可能性が高くなります。主治医の先生に歯科治療の内容を相談し、必要であれば抜歯等の歯科治療の前後にBP製剤を休薬したり、他の薬剤に変更してもらうことが勧められます。

もし顎骨骨髄炎が起こってしまった場合でも、歯科医院を定期的に受診し、症状を悪化させないように努めることが重要ですが、症状が悪化して改善が認められないような場合には、口腔外科の専門病院を受診されることをお勧めします。

BP製剤は骨粗鬆症やがんの骨転移などに対して優れた効果を発揮する良いお薬ですが、副作用についても正しい知識を持って、歯科医院を受診された際には、BP製剤の内服や点滴治療を受けておられることを担当の歯科医師には忘れずに伝えるようにしてください。

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