乳歯はいずれ、すべて永久歯に生え変わります。たとえ歯並びが悪いとしても、子どもの頃なら矯正する必要はないと思うかもしれません。しかし早い段階で噛み合わせを改善することで永久歯が生えたとき理想的な歯並びが実現しやすくなるほか、虫歯を発症するリスクを軽減することにつながります。
■子どもならではの習慣が歯並びを乱しやすい
生まれつきや遺伝の影響が大きいと言われる歯並びですが、子どもの癖や習慣によって乱れる可能性もあります。
指しゃぶりは奥歯を噛んだとき前歯が噛み合わなかったり、上下の奥歯がズレてしまったりという問題を引き起こす要因です。また、頬杖は顎の成長を妨げるリスクがあります。顎に負荷がかかることで噛み合わせに問題が生じる可能性も否めません。口呼吸で長時間口が開いた状態になってしまうことも、口周りの筋力に悪影響が出てしまいます。口呼吸に関しては、就寝時や運動後の様子に注意しましょう。
子どもの癖や習慣は無意識に行なっていることがほとんどなので、家族みんなで協力し合って励ましたり、我慢できたことは褒めてあげたり、モチベーション高く改善に取り組めると前向きに頑張ってくれます。
■噛み合わせは身体の成長や脳の発達に影響する
子どもは、これから身長が伸びていく時期です。筋肉は全身でつながっており、口周りも例外ではありません。歯並びの乱れによる噛み合わせのズレは、起立時や着席時の姿勢、歩行、骨格の歪みといった悪影響を及ぼす恐れがあります。また、脳や神経系は比較的早期に成長するのに対し、上顎と下顎の成長時期は異なるため、子どもの受け口や出歯といった症状を事前に把握しておくことも重要です。
さらに近年の研究では、噛むことが脳に刺激を与え、発達をサポートしていることがわかりました。人間の脳は6歳までにほぼ完成するため、乳歯から永久歯に生え変わるタイミングで受ける刺激が多大な影響力をもっています。
つまり乳歯が多い子どもの時期にどれくらい噛んで食事をとったかによって、脳の成長に直結するのです。正しい噛み合わせで咀嚼を促進することは、勉強やスポーツに打ち込む集中力を養えるといっても過言ではありません。
■適切なタイミングで適切な矯正方法を選ぼう
歯科矯正が必要かどうかを自己判断するのは難しいため、子どもの歯並びが気になったときは歯科医院で相談してください。子どもの歯科矯正は第1期治療と第2期治療に分かれており、期間内であればいつでも矯正は可能です。ただ、歯並びがひどく乱れてからの矯正は時間も費用もかかってしまうので、5~6歳頃に一度相談されることをおすすめします。