暑い夏がやっと終わって、過ごしやすい季節になってきましたね♪ さて今回は小児の仕上げ磨きのお話しです。
小さなお子さんの歯を守るために、「仕上げ磨き」を取り入れている家庭はとても多く、日本ではおよそ9割の保護者が日常的に行っていると言われています。
しかし「どうやって磨けばいいの?」「何歳まで続ければいいの?」と疑問不安を感じながらなんとなく続けているというおやごさん又は保護者も少なくありません。
子どもが自分で歯を磨くようになっても、まだまだしっかりと磨けていないことで磨き残しが多く、保護者のサポートが欠かせない時期は思っているより長いのです。
この記事では、「仕上げ磨きって実際には何をするの?」「いつから始めて、いつまで続ければ良いのか?」といったよくある疑問にお答えしながら、仕上げ磨きの重要性と正しい実践方法について詳しく解説していきます。
なんとなく済ませていたケアを、より効果的な習慣に変えるためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
■子どもが自分だけでしっかり磨けるわけじゃない
子どもが自分で歯ブラシを持って磨くようになると、つい「もう一人でできるから大丈夫かな」と思ってしまうかもしれません。
しかし実際には、歯磨きの技術が未熟な子どもにとって、細かな部分の汚れまできちんと落とすことはとても難しいことです。特に乳歯はエナメル質が薄く、大人の歯よりも虫歯にかかりやすいため、磨き残しがあるとすぐに虫歯が進行してしまうことがあります。
また、生えたばかりの永久歯も要注意です。表面がまだ粗く、歯垢が付きやすい状態であるうえ、歯の質自体も未熟で、酸に対する抵抗力が低いのです。そのため、永久歯がきちんと成熟するまでの数年間は、虫歯になりやすいリスク現状が続きます。
さらに歯並びも安定していないため、磨きにくい隙間が多く存在し、磨き残しが起きやすい構造になっています。
このような事情から、子どもの自発的な歯磨きだけでは不十分であり、大人が仕上げ磨きをすることで虫歯予防の精度を高めることが非常に重要となるのです。
とくに見落とされやすい奥歯や、歯と歯の間、利き手側の犬歯付近などは注意深くチェックする必要があります。仕上げ磨きを通じて、子どもに正しい磨き方を伝えながら、口腔内の清潔をしっかり保っていきましょう。
■仕上げ磨きはいつから始める?どんなふうに行えばいい?
仕上げ磨きを始めるタイミングは、一般的には乳歯が生え始める生後8ヶ月頃が目安になります。歯が1本でも生えてきたら、虫歯のリスクは始まっているのです。
最初のうちは歯ブラシを口に入れることを嫌がる子も少なくありませんが、この時期は「歯磨き=怖くない」という印象を持ってもらうことが大切です。おもちゃのように触れさせたり、優しくブラッシングしたりすることで、少しずつ歯ブラシに慣れさせていきましょう。
奥歯が生えてくる1歳6ヶ月頃までには、仕上げ磨きを毎日の習慣として定着させるのが理想です。奥歯はとても汚れが溜まりやすく、虫歯になりやすい箇所です。また、上の前歯も磨きにくい部分なので、特に丁寧にケアしましょう。
磨きにくい場所は、保護者の利き手側にあたる場所であることが多いため、意識して角度を変えるなどの工夫が必要です。
仕上げ磨きの際には、子どもの頭を保護者の膝にのせるか、後ろから支えて体を安定させてから磨くと、安全かつ確実に行うことができます。また、磨き終えた後には「きれいになったね!」「がんばったね!」と声をかけてあげましょう。
子どもは褒められることで達成感を得られ、歯磨きに対して前向きな気持ちを持つようになります。歯磨きが「嫌なこと」ではなく、「褒めてもらえる嬉しいこと」になるような声かけが、歯磨き習慣の継続に繋がります。
■いつまで仕上げ磨きをするのがベスト?
多くの専門家は、仕上げ磨きは10~12歳ごろまで継続するのが理想的だとしています。というのも、この時期まではまだ第二大臼歯(いわゆる12歳臼歯)が生えそろっていないことが多く、自分一人では奥歯までしっかり磨ききるのが難しいからです。
10歳頃になればある程度自分で丁寧に歯を磨けるようにはなってきますが、それでもチェックとサポートは必要です。とくに小学生の間は、仕上げ磨きが歯の健康を守るうえで大きな役割を果たします。
食後すぐに仕上げ磨きを行うのがベストですが、登校している日中は難しいため、就寝前や夕食後などのタイミングに絞って、毎日継続することを目指しましょう。1日1回でも丁寧なケアを続けていれば、虫歯の発生リスクはぐっと減少します。
成長とともに、子どもが歯磨きを自立して行えるようになったら、仕上げ磨きの頻度を徐々に減らしていくのもよいでしょう。最終的には中学生になる頃を目安に、子どもが自分で責任を持って口腔ケアを行えるようになることがゴールです。
それまでの間、保護者がしっかりとサポートし、正しい磨き方と口腔衛生の大切さを教えてあげることが、将来の健康な歯を守る基盤となるのです。
仕上げ磨きは、単なる「子どもへの手助け」ではなく、歯の健康を守るための重要な生活習慣のひとつなのです。
始める時期ややり方、続ける期間にはポイントがあるものの、毎日少しの時間をかけて丁寧に行うことで、お子さんの歯を虫歯からしっかり守ることができます。今やっている仕上げ磨きをもう一度見直し、親子の健康な歯を育む大切な時間にしていきましょう。