院長ブログ

ストップ!認知症・要介護者における口腔ケアの必要性

ストップ!認知症

高齢化の進展とともに、認知症患者数も増加しています。「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」の推計では、2020年の65歳以上の高齢者の認知症有病率は16.7%、約602万人となっており、6人に1人程度が認知症有病者と言えます。つまり、認知症は誰もがかかりうる病気といっても過言ではありません。

ここで興味深い報告があります。認知症を発症していない65歳以上の4425人を対象に、その4年後を追跡した結果、ほとんどが歯がないうえに義歯を使用していない人は、20本以上歯が残っている人の1.85倍も認知症になるリスクが高いことが分かりました。認知症の人はお口の手入ができないので歯が少ないのではなく、実は歯が少ないから認知症になっていたかもしれません。

しかし、「すでに歯が少ない私は認知症から逃れられないのでは…」と落胆しないでください。ほとんど歯がなくても、歯が20本以上残っている人と大差ない程度まで発症リスクを抑える簡単な方法があります。それは義歯を使用することです。それだけで4割近くも発症リスクを抑えられるのです。

さらには、かかりつけ歯科医院がない人は、ある人の1.44倍も認知症になりやすく、すでに認知症を発症していても、お口の手入れを続けることで認知症の進行が抑えられたという報告もあります。しっかり噛めるということは、脳への血流を増やして記憶をつかさどる脳神経の活性化を促すうえに、認知症リスクを下げる野菜や豆類などをバランスよく食べられるので、こういった結果に結びついているのでしょう。

ぜひともみなさんも、かかりつけ歯科医院へ定期受診し、お口の健康からできる認知症対策に取り組んでください。

 

要介護者における口腔ケアの必要性

口の中の汚れの主な原因は食べ物(食べかす)です。寝たきりや身体が不自由な要介護の方はどうしても口腔内の手入が不十分になりがちですが、口の中を清潔に保つことにより誤嚥性肺炎や感染症の発症を予防できます。

自分自身の歯でかみ、食べることは、脳や身体を活性化させる効果があり、何よりも食事をおいしいと感じることは生きる活力を生み出します。

また、口から食べ物を取れない方の場合、口腔ケアは不必要だと誤解されがちですが、口から食事をしなくても口腔粘膜の老廃物などによつて汚れがたまります。さらに高齢者では唾液分泌が低下し、唾液による洗い流しが少なくなるため、口腔内の細菌はかえって増殖する場合もあります。

その他、口腔ケアは口腔内を清潔にし、唾液分泌を促進するることで。

  • う蝕や歯周病などの口腔内疾患を未然に防ぐ
  • カンジダ症や誤嚥性肺炎の予防
  • 口腔内の自浄作用を促す
  • 口臭の除去

等の効果が期待できます。以上のことから、経口摂取の有無を問わず口腔ケアは非常に大切ですが、要介護者の多くはご自身で口腔管理が十分に行えないので、介護者や看護師による援助が必要なのが実情です。そこで、口腔ケアを介助する場合の方法をご紹介します。

まずは口腔ケアスポンジを用いて口腔粘膜(頬粘膜・歯肉粘膜・口蓋粘膜)に付着した食べかすや歯垢の除去を行います。スポンジは水やうがい薬で湿らせて、粘膜を傷つけない程度の力で用います。

続いて舌ブラシを用いて舌の上の白い汚れである舌苔の除去を行います。舌苔では細菌が繁殖しやすく、口臭に影響を及ぼすと言われています。下の先をガーゼで持ち、軽く引っ張りケアすると効果的です。軽く汚れを除去するという程度で十分です。

あとは歯ブラシや電動歯ブラシを用いて歯垢の除去を行います。舌ブラシ・歯ブラシ・電動歯ブラシとともに、強く押し当てないようご注意ください。最後らうがいが可能であれば洗口剤を用いてうがいを行います。

毎日行う一条の口腔ケアに加え、週1回程度歯科医師・歯科衛生士による治療計画に基づいた訪問歯科診療・専門的口腔ケアを行うことにより、口腔衛生管理ができます。ぜひお泉田歯科医院にご相談ください。

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