院長ブログ

誤嚥性肺炎と訪問診療・健康寿命を延ばす

誤嚥性肺炎と訪問診療

誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)とは、最近が唾液や胃液と共に肺に流れ込んで生じる肺炎です。高齢者の肺炎の70%以上が誤嚥に関係していると言われています。日本人の死亡原因の第3位は肺炎です。肺炎で死亡する人の94%は75歳以上であり、90歳以上では死亡原因の2位に順位が上がります。

お口の中が不潔になると誤嚥性肺炎を引き起こす原因にもなりますし、合わない入れ歯を使っていると食欲不振から健康不良を引き起こす原因にもなります。お口の清掃を行い、噛む機能を回復させることにより、今までの前身の病状が改善されたという例もあります。また、いつまでも口から口から食事ができることは、人の生きる意欲を向上させるために必要なことです。

認知症、全身疾患、高齢のため歯科を受診したくても受診できない方が多くおられます。ご自身の足で歯科等の医療機関を受診できない方は、ご自宅や施設内で訪問歯科診療を保険診療の範囲で、受けることができます。

歯周病治療、虫歯治療、入れ歯の調整から新しい入れ歯を作るなど、一般歯科医院とほぼ同じ内容で受けることができます。ただし、治療時の姿勢や保持や照明など制約の中で行われるので、治療内容によっては診療所での受診が必要な場合もあります。

訪問歯科診療を希望される方は、まずご自分のかかりつけの歯科医院にご相談ください。その歯科医院での対応が困難な場合には、各地区の在宅歯科ケアステーションまでお問合せください。

健康寿命を延ばす

健康寿命とは「健康上の問題で生活が制限されることなく生活できる期間」とされています。2021年分の統計では、男の平均寿命は 81.47 年、女の平均寿命は87.57年となり、平均寿命(2021年)と健康寿命(2019年)との差は、男8.79年、女12.19年となりました。

健康で、食生活を楽しむには、話す、食べるといったクチの機能を低下させないようにすることが大事です。最近フレイルやサルコポニアといった概念が注目されています。

フレイルとは、加齢に伴い、筋力や活動性が低下して健康障害を起こしやすい状態(虚弱)で、介護が必要となる前の段階をいいます。サルコペニアはギリシャ語の「筋肉」を表す「サルコ」と、「喪失」を意味する「ペニア」を組み合わせた「筋肉の喪失」という意味の新しい言葉で、30歳ごろから始り、筋肉量の減少や筋力低下がみられる状態をいいます。

サルコペニアの原因は十分にわかっていませんが、栄養不足がサルコペニアにつながり、疲れやすくなると活動量も低下して、健康障害を起こしやすくなっていきます。この身体の衰えを予防するには、しっかりと栄養を取ることが必要です。

歯周病やむし歯を治療しないで放置すると、ひどくなって歯を抜くことになってしまいます。歯がなくなると、しっかり噛めなくなったり、舌の動きが悪くなったりと口の機能が低下して「オーラル・フレイル」(歯・口腔機能の虚弱)という状態になっていきます。

このような状態になるとお友達と食事をしたり、出かけたりする回数が減り、生活の質も損なわれてしまいます。平均寿命が延びていく中で健康寿命を延ばさないと、病気や虚弱などで要介護状態となる期間が長くなってしまいます。生涯現役を目指して、歯と口の健康に意識をもっていただき、しっかり噛んで食べて、運動して、健康寿命を延ばしましょう。

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