歯の白濁と再石灰化とは?
上の前歯の一部が乳白色に変色して、磨いても取れない! むし歯なのでしょうか?
結論から言うと、初期のむし歯(う蝕)である可能性が高いと思われます。う蝕は歯の表面に付着した歯垢の中で細菌が産生した酸により、歯が溶ける(この過程を脱灰と言う)病気です。う蝕は歯の表面がざらついたり、小さな穴があるのを見つけたり、茶色に変色していることによよって気がつくことが多いのです。初期のう蝕はいきなり穴が開くのではなく、歯の平滑な面では色が白っぽく変化する、白濁として認められます。
歯のエナメル質は健全であれば透明感のある色ですが、初期う蝕では歯の一番表面ではなく、その下10~20ミクロンのエナメル質内で脱灰が最初に起こります。エナメル質の結晶が崩れて光の屈折により白濁として認められるのですが、この時点で、歯の表面にはまだ穴は開いてないのです。
しかし、この白濁として認められる初期う蝕は適切な対応があれば、脱灰部分に無機成分(リン酸やカルシウム)が沈着して、元の硬いエナメル質に戻すことができることが分かってきました。この現象を再石灰化と呼びます。再石灰化を促進するためには、歯垢の除去、無機成分の供給源であるだ液の分泌を促すこと、フッ化物の継続的使用、専門家による歯面清掃、シュガーレスガムの使用などが進められています。できるだけ早く歯科医院での精査を受けられることが必要です。
歯ブラシの功罪とは?
「むし歯予防週間に歯医者さんへいきました。自分では1日3回、ちゃんと磨いているつもりですが、新しいむし歯が見つかりましたし、磨き過ぎで歯が擦り減っているといわれましたがなぜですか?」
1日3回、しっかりと磨いているのに、歯科医に「歯ブラシが強く当たり過ぎている(ブラッシング圧が強い)」「歯ブラシが硬すぎる」と注意されませんでしたか?几帳面な方によく見受けられるのですが、硬い目の歯ブラシで、歯磨き粉もしっかりとつけて、バリバリ磨かなければ磨いた気がしないと言われます。確かに朝起きぬけに磨いた後の爽快感は捨てがたいものがあります。
ここでお掃除するときのことを想像してください。細菌は放棄ではくことは少なくなりましたが、力任せにほうきを使うとほうきの毛先は力でねてしまい、うまくゴミやチリが集められないでしょう。放棄を使い慣れていない子ども達がよくやる失敗です。歯ブラシもそれと同じで強い力で歯に押し当てられると毛先がねてしまい、うまく歯垢を取り除くことができません。歯と歯の間(歯間部)には毛先が入っていきません(ここはむし歯の好発生部位です)。
一方、歯並びの曲がり角(犬歯~小臼歯部)では同じところにばかり力がかかり、歯のくびの部分が擦り減ってしまいがちになります。これはくさび状欠損と呼ばれ知覚過敏症をひきおこしたり、最悪の場合には歯が折れてしまったりします。どうしてもバリバリやらなければならない満足できない方は、まず歯磨き粉をつけないで磨いた後、少しだけつけてサーッと磨いてみてはいかがでしょうか。自分に適した歯ブラシとブラッシング方法をかかりつけの歯医者さんでご相談してください。