院長ブログ

味覚障害と摂食嚥下障害

春みたいに暖かい日があるかと思えば冬に逆戻りしたような日もありますね。風邪ひいていませんか? さて今日は味覚障害と摂食嚥下障害のことなどお話しします。ご参考になれば幸いです。

味覚障害


最近“食事が美味しくない”、“変な味がする”と感じる場合、味覚に異常が起こっていることがあります。美味しく食事が摂れるということは、人生の大きな楽しみの一つですが、さまざまな原因で味覚に異常がおこることがあります。味わいとは、食物中の味成分がだ液に溶けて舌の表面にある味蕾(みらい)という細胞を刺激することで感じる感覚ですから、頭頸部(とうけいぶ)の放射線療法などの後遺症として味蕾そのものが破壊された場合、味覚を感じることはできなくなります。

また味蕾からの感覚刺激を脳に伝える神経系統が損なわせた場合や(顔面神経麻痺など)、脳腫瘍などで味覚中枢が障害された時にも味覚異常が起こります。しかしこれらの発現頻度は低く、元になる病気がありますので、なんとなく味が変な気がするというケースとは違います。

味を感じるにはまず食物の味成分がだ液に溶け出す必要がありますので、だ液の分泌が不十分な場合(ドライマウス)、苦く感じたり味覚異常を起したりします。またお薬の副作用で口が乾くことがありますし、味覚そのものに異常を起こす薬剤も多数存在します。正常な味覚を保つ上で、必須微量元素の一つである亜鉛が不可欠です。

普通の食事をしていれば亜鉛は不足することはありませんが、お薬の中には亜鉛の働きを弱める物もあり、服薬中の方はお医者さんに相談してみてください。舌が舌苔で覆われていたり、カンジダというカビの一種が起こすカンジダ症罹っていたりすると、味成分が味蕾まで届かないので味覚障害が起こります。汗ばむ季節、ともすれば水分が不足しがちになり口が乾きます。十分に水分を補給し、口を清潔に保つようこころがけてください。

摂食嚥下障害


年をとると、食事中によくむせるのですが、むせはなぜ生じるのでしょうか。またむせを防ぐことはできるのでしょうか。

私たちが食べるということは、簡単に見えてとても複雑な過程から成り立っています。まず、食べ物をみてそれが食べ物であると認識することから始まります。続いて食べ物を口の中に取り入れ、舌と歯を使ってだ液と混ぜられ咀嚼されます。こうしてばらばらにされた食べ物は一つにまとめられて食塊(しょっかい※注)となり、舌の運動によって口の奥へと送られます。食塊が咽頭に入ると嚥下反射が起こり、咽頭を通過して食道に入ります。食堂のきんにくの働きで食塊は逆流しないように胃へ運ばれます。

口腔の機能が低下して摂食嚥下の運動がスムーズに行われなくなると、食塊の一部が気道に誤って流れてしまう誤嚥が生じるようになります。肺への通り道である気道に食べ物が入ろうとするのを押し出そうとする反射がむせです。誤嚥は加齢により増加する傾向がありますが、脳血管障害、パーキンソン病、喫煙者、慢性呼吸器疾患のある患者さんに特に多く見られます。また誤嚥によって肺へ入った細菌は恐ろしい肺炎の原因になることも知られています。

健康な人でも誤嚥は起こることですし、むせは正常な反射なので完全に予防することはできません。そこで大切になってくるのが、日々の食事でしっかり噛んで、食べる習慣を身につけることです。これは脳への刺激となり、誤嚥を引き起こす筋力の低下を防ぐといわれています。

さらに咀嚼や味覚の能力を低下させないためにしっかりと口腔内ケアを行う必要もあります。摂食嚥下機能が低下して誤嚥を起こしやすくなった方でも、食事前の準備運動、食事の姿勢、食物の硬さ、性状の工夫などにより、かなり誤嚥は防げることが分かってきました。食事中のむせが気になる方は、一度、かかりつけの歯科医院で相談されることをお勧めします。

(※注)食塊とは口に入れた食べ物が咀嚼(噛む)され、唾液と混ざり合い、喉を通って食道へ送り込まれる直前の「泥団子状にまとまった塊」のこと

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