口から食べることの大切さ
口にはたくさんの機能がありますが、食べるときに重要なのは歯、舌、唾液の機能です。歯は食べ物を細かくかみ砕き、すり潰して消化を助ける役割があります。これを咀嚼(そしゃく)と言って、脳や神経系を刺激して活性化させます。次に舌は味を感じるだけでなく、口にしたものが体にとって危険であるかないかを識別します。また、咀嚼したものを舌と上顎で押し潰し、唾液と混ぜ合わせて飲み込む塊をつくって喉へと流し込みます。 口の中にはやく300~700種類、数千億の細菌がいるといわれていますが、唾液には食べものの消化を助ける働きと、口の中を殺菌するという重要な役割があります。
唾液の中には免疫系に関わるものが多く含まれているので、唾液が減って口の中が乾燥すると口の中に入ってきた病原菌などを殺菌できなくなり、細菌の住み家になってしまいます。 食べたり話したりすることで唾液も出て、飲み込むと細菌も同時に胃や腸で消化されて、病原菌も処理されます。
口から食べることは、食べものを咀嚼したり飲み込んだり、味を感じさせることで脳や神経系を刺激して活性化させ、全身の免疫力や抵抗力を高めることにつながります。口の機能が低下すると生活の質(QOL)も低下してしまうので口から食べて、その機能を最大限に使い、QOLの維持と向上を目指しましょう。
鼻呼吸の大切さ
近ごろ、お口がポカンと開いている子どもや若者が多いことに気づかれていますか?そのほとんどは、口で呼吸をしている「口呼吸」の人です。 本来、老若男女を問わず人間の構造上、鼻で呼吸をするようにできています。鼻から息を吸うことで鼻の繊毛や粘液でウイルスや汚染物質の侵入を防いだり、鼻で空気を吸うことで空気が体温近くまで温められたりしますが、口呼吸では冷たい外気のまま肺に届き、肺の免疫力が低下し、肺にかかる負担が増えて風邪をひきやすくなることがあります。
せっかく加湿器や空気洗浄機を部屋に備えていても、口呼吸をしていると口、気道、肺が乾燥し、その効力が薄れてしまいます。 また、鼻呼吸は口の中の唾液の分泌を促します。唾液の中には、ウイルスの活性化や感染力を抑制する物質が存在します。
しかし、口呼吸で口の中が乾燥すると口の中や喉の奥にいる細菌が増殖し、それから出る酸素がウイルスを活性化させ、口臭やむし歯、歯周病に感染するリスクが高まります。 哺乳類は、生まれてから、母乳を吸うことで鼻呼吸を覚えるといわれています。しかし、離乳時期が早いこと、食べものが柔らかくなったこと、指吸いやアレルギーが原因で口呼吸が始まるといわれています。
さらに幼児期から口を開けている時間が長いと、口の周りの筋肉が弱くなるため、歯並びが悪くなったり、上下のかみ合せが開くようになります。さらに口呼吸のまま成人すると、睡眠時無呼吸症候群になるなど、全身的な病気の心配が出てきます。 そうならないためには、お口の周りのリハビリテーションが必要になります。ご家庭でも簡単にできる方法としては「あいうべ体操」があります。
毎日数回この体操をすることによって、舌や口の周りの筋肉を強化することができ、年齢を問わず、鼻呼吸をして健康管理ができることが期待できます。 口呼吸の心配がある方はもちろん、体操のやり方やお口の周りのリハビリテーションにご興味のある方は、お気軽に泉田歯科医院まで相談ください。