子どもの歯は、大人の歯よりも繊細で虫歯になりやすい性質です。しかし子どもの歯は成長期を経て生え変わるため、虫歯になっても問題視されない傾向にあります。「少しくらいなら大丈夫」と油断していると、永久歯に思わぬ悪影響を及ぼしかねません。歯は一生使う機能だからこそ、健康的に維持していく必要があります。
■永久歯の歯並びを乱すリスク
乳歯は、顎を発達させたり、発音の安定を支えたりといった重要なサポートを果たしています。なかでも永久歯が美しく生え揃うには、乳歯を正常な状態で保つことが不可欠です。
このような重要な役割を担っているにも関わらず、乳歯の虫歯を放置する人が一定数見られます。生え変わり前にやむを得ず乳歯を抜いてしまうと、空いたスペースに周辺の歯が寄ってしまう問題が生じます。のちに永久歯が生えてきても、スペースに余裕がないことでまっすぐ生えてこられず、誤った位置から生えてしまうのです。
最悪の場合は本来生えるはずのない歯茎から生えてしまうこともあります。審美性を考えてもキレイではないことはもちろん、歯磨きがしづらくなり汚れが溜まりやすくなるといった悩みを抱えることになるでしょう。
■変色や形成不全、虫歯の永久歯になる可能性も
乳歯が虫歯になり、神経が死んでしまったまま放っておくと、歯の根っこに膿が溜まってしまいます。結果、乳歯の下で控えている永久歯に悪影響を及ぼすことを完全には避けられません。具体的には、変色、形が歪な永久歯が生えてくる可能性が高いです。
また、乳歯に異変を感じたら神経を取る選択を検討しなければいけない場合があります。「乳歯の神経を取ると、永久歯の神経もなくなってしまうのでは？」と心配されるかもしれませんが、それぞれ独立している歯なので、永久歯の神経がなくなってしまうことはありません。虫歯の状態がひどいなら、乳歯の神経を取る決断も必要です。
とはいえ乳歯の歯根が未完成な状態で神経をとると、歯根の成長がストップします。永久歯に生え変わるタイミングでトラブルが発覚する恐れもあるため注意してください。
■乳歯が虫歯になったら早急に歯科医院へ
歯科予防に力を入れていても、歯に異変が起こってしまうことは少なからずあります。乳歯の虫歯は黒くならないうえに初期段階だと痛みがない場合がほとんどのため、家族がしっかりとチェックすることが重要です。定期健診を受けていれば早期発見できる可能性が高いので、子どもが歯の違和感を訴えてきたときは早急に歯科医院へ行きましょう。
