今年も残りわずかとなりました。日々忙しく過ごす中で、お口のトラブルは後回しになりがちです。今回は気づかないうちに進行しやすい歯周病について、少しでも皆様のお役に立てると嬉しいです。
歯周病は、私たち日本人にとってとても身近なお口のトラブルです。「なんとなく良くないことはわかっているけれど、具体的に何が悪いのかが分からない…」という方も多いのではないでしょうか。
口腔内はもちろん、全身の健康状態を健やかに保つためにも、歯周病対策は非常に大切な意味を持ちます。歯周病の基礎知識からおすすめの対策方法まで、これからに役立つ情報をお届けします。
■歯周病の別名は「サイレントキラー」
自覚症状がないまま、ゆっくりと進行していく歯周病。日本では、30~40代の若い世代でも歯周病リスクを指摘されるケースが少なくありません。歯科検診で指導を受けても、「またか…」と思うだけで聞き流してしまう方も多いのではないでしょうか。
歯周病の原因となるのは歯周病菌という菌の一種であり、多くの人の口腔内に住み着いています。菌から出る毒素が、歯茎や歯を支えている土台・骨などにダメージを与え、少しずつボロボロにしてしまうのです。
健康寿命を延ばすためにできるだけ多くの歯を残すことが重要だと言われていますが、歯周病が進行すれば、歯を支える基の土台が駄目になってしまいます。その結果、歯そのものに問題がなくても、自然に抜け落ちてしまうのです。
実は日本人が歯を失う原因第1位は、歯周病だと言われています。
また歯周病菌が影響を及ぼすのは、歯の周辺組織だけではありません。重度の歯周病を放置すれば、血管を伝って全身へと広がってしまうでしょう。心筋梗塞や糖尿病、動脈硬化といった循環器の重大な病の原因にもなり得るため、進行を抑えるための対策が必須です。
■歯周病を患っている人の割合は?
歯周病の特徴は、初期段階における自覚症状が乏しいことです。「自分はまだ若いから関係ない」と思っていても、気づかないうちに病状が進行しているケースも珍しくありません。
厚生労働省が発表している「令和6年歯科疾患実態調査」によると、4mm以上の歯周ポケットを持つ者の割合は47.8%です。日本の15歳以上の約2人に1人が、歯周病リスクを抱えていると言えるでしょう。
将来にわたってお口の健康を守るためにも、歯周病を他人事ととらえず、自分の事として真剣に対処することが大切なのです。
■一般歯科も活用!歯周病予防のポイント3つ
歯周病は、適切なケアとメンテナンスで防げる病気です。具体的な予防のコツを3つ紹介するので、ぜひ日々の生活に取り入れてみてくださいね。
〇毎日のセルフケア
歯周病予防の要となるのは、日々のセルフケアです。正しいブラッシングで歯垢を取り除きましょう。
自分ではきちんと歯磨きできているつもりでも、実は十分に汚れを落とせていないケースも少なくありません。まずは正しいブラッシングの方法を確かめ、実践するのがおすすめです。
また歯と歯の間の汚れは、歯ブラシだけでは落としきれません。歯間ブラシやデンタルフロス等の歯ブラシ意外の物をうまく使って、丁寧なケアを心がけてください。
〇定期的なプロケア
十分にセルフケアをしているつもりでも、残念ながら限界はあります。だからこそ重要な意味を持つのが、プロの手による定期的なメンテナンスです。
一般歯科にて行うメンテナンスでは、専門的なマシンを使って歯石や歯垢を徹底的に取り除きます。定期的にプロケアを行うことで、日々のセルフケアの難易度も下げられるでしょう。
歯科衛生士が患者さんのお口の状態を見れば、日々のセルフケアにどのような問題を抱えているのかも判断できます。ブラッシング指導も行っているので、ぜひ活用してみてください。
〇生活習慣の見直し
歯周病には、私たちの日々の生活習慣も深くかかわっています。喫煙や肥満、ストレスや睡眠不足は歯周病悪化の要因となるため、避けるように努力することが大切です。
また日々の食生活においても、歯周病予防を意識するのがおすすめです。歯茎の細胞のもととなっているのはコラーゲンで、ビタミンCはその生成をサポートしています。炎症を抑える働きのあるビタミンEも、積極的に摂取しましょう。
■歯周病について正しく知り予防に役立てよう
歯周病を予防するためには、日々の取り組みがとても重要です。歯周病に関する正しい知識を多く身につけて、予防ケアに役立ててみてください。
将来の健康を守るためにも、若い時期からの予防対策は必須です。一般歯科のプロケアもうまく活用しながら、健康なお口を維持していきましょう。





