体の定期健診もしよう
現在、世間には数えきれないほどの薬が流通しています。血圧を下げる薬、血を固まりにくくする薬、糖尿病治療の薬、骨を丈夫にする薬等、例をあげるときりがありません。
よく、歯が痛むので抜いてほしいと来院される方がおられます。病院で処方されている薬を拝見すると、血を固まりにくくする薬や骨を丈夫にする薬を飲まれていたりします。歯を抜く治療は出血を伴う処置であるため、血が止まらなくなったり、骨を丈夫にする薬は種類によっては、抜いた歯の周りの骨が死んでしまったりする場合もあります。
歯科医は、来院される患者様のお体の状態を知るには、かかりつけの病院の主治医にお伺いしないとよからない場合があります。特に新規患者様になると、おくすり手帳等がないとどのような薬を飲まれているのかわかりませんし、出血を伴う治療を行うとき、主治医の先生の指示が必要になることもあります。
しかしながら、病院をまったく受診したことが無く、知らないうちにお体を悪くしている方もおられます。そのような方は歯科医院に受診されるとき、「病気もないし薬も飲んでいません」と答えられるでしょう。
私たちは問診時に、その方の様子、表情、話し方にって、判断しますが、さすがに限界があります。麻酔や緊張による血圧の上昇や、抵抗力の低下による感染等、歯科治療には最新の注意が必要となります。
このように歯科治療を行う場合、お体の状態により、治療不可能と判断せねばならないこともあります。歯の治療も非常に大事です。しかし、皆様のお体あっての「口」ですので、お体の健診を定期的に行って、ご自身の健康状態を把握していただくことは、スムーズな歯科治療を行うために、とても大事な事なのです。
たばこと口のがん
たばこには4000種類以上の化学物質が含まれ、約200種類の有害物質、40~60種類もの発がん物質が含まれています。たばこの煙によって口や肺のがん、呼吸器疾患をはじめ、循環器疾患など様々な病気を引き起こすことが多くの研究でわかってきました。
近年このようなことが一般的に知られるようになり、受動態喫煙を防止するための法律(健康増進法第25条)が施行され、百貨店や飲食店など多くの人が集まる場所が禁煙になったことや健康への意識の高まり、禁煙治療の保険治療導入などから、喫煙者の数はかなり減少しています。
体の中でたばこの煙が最初に触れるのは舌、歯ぐき、頬の内側の粘膜などで、煙の中に含まれるニコチンや発がん物質を含む有害物質などによってダメージを受けることになります。喫煙者の口のがんのは発生率は非喫煙者に比べ約7倍高く、死亡率は約4倍も高いという報告があります。また、紙たばこの習慣のある南・東南アジアではがんの約30%が口に発生しています。
日本で口のがんで死亡する人の割合はがんで死亡する人の約2%です。歯や舌は食事や会話のためになくてはならない非常に大切な臓器です。がんになれば手術で切除しなければならないことがあります。
放射線を患部にピンポイントで照射して治療する方法もあり、治療のレベルも上がってきていますが、それでも機能障害は残る場合があります。
口のガンの初期症状は粘膜が白くなる、ただれる、血がにじむなどで、口内炎の症状と似ていることがあります。自覚症状がない場合もありますので、たばこを吸われている方は、一度口のがん検診を受けていただくことをお勧めします。