院長ブログ

歯科におけるCT検査の活用・けがで脱落した歯の再植

歯科におけるCT検査の活用

現在さまざまな疾病に対しCT(コンピュータ断層撮影)による精密な画像診断が行われており、治療精度の向上に役立っています。CT撮影の経験をお持ちの方も多くいらっしゃると思います。

体を輪切りにしたような画像から得られる情報は、歯科治療においても非常に有用で、撮影したデータに画像処理を施し、立体的な画像処理を合成できるなど、今まで我々歯科医が診断の材料として用いてきたX線撮影画像のみでは分かりえない情報を得ることが可能です。

インプラントを用いた治療においては、インプラント体を植立する予定の顎骨(がっこつ)の厚みや骨の状態を知ることができるほか、神経や血管にダメージを与えることを回避するため、事前検査において欠かせぬものとなってきています。

インプラント治療後においても定期的にCT検査を行いインプラント周囲骨の状態を確認することは、長期にわたってインプラントを使用するために必要な検査となってきております。その他親知らずの抜歯においても、歯の形を立体的に把握することができ、施術前に十分な準備を整えることが可能となります。また、さまざまな歯科疾患においても、画像診断による原因究明の一助として有用な検査となりえます。

歯科CT装置は撮影範囲が限られていますので、装置がコンパクトで放射線の被ばく量も低く、座ったり、立ったまま手軽に撮影が可能となっており、保険診療の適応となる場合もあります。設備費が高額であるため、まだまだ一般的とは言えませんが必要であれば医科と連携し、撮影が可能です。

このように歯科においてより安全、安心な医療を提供するために新しい検査手法、手技が導入されております。

けがで脱落した歯の再植

お口のけがで脱落した歯が再植できることをご存じでしょうか。一度脱落した歯が元の姿に戻ったとき、患者さん本人だけでなく家族の喜びは大変なものです。再植が成功するためには、歯の根の部分を取り囲む歯根膜細胞が生きている必要があり、脱落した歯を乾燥させないように配慮しなければなりません。

研究の結果、脱落した歯を生理的食塩水の中に保存した場合、歯根膜細胞は30分で80%前後、2時間後でも60%以上が生存していることが確かめられています。ところが、乾燥状態では30分で80%前後、2時間後でも60%以上が生存していることが確かめられています。ところが、乾燥状態では30分で70%以上が死んでしまい、水道水の中でも2時間後に生存しているのは30%でしかありません。

そのため、脱落した歯を保存するには生理的食塩水に入れておくのが一番ですが、生理的食塩水が簡単に手に入るとは限りません。それに代わるものとして牛乳がいいと言われています。牛乳は手近にある滅菌水で、浸透圧もヒトの体液と近く、体になじみます。水道水は浸透圧が低く、歯根膜細胞が死んでしまいますので、脱落した歯の保存には適していません。

一昔前は、一度脱落した歯が元に戻るということは信じられておらず、脱落した歯は捨てられて入れ歯を作るのが普通でしたが、現在大学でも脱落した歯の再植が教育され、保険診療にも取り入れられています。再植した歯がどれくらいもつのかを正確に判断するのは難しく、決してたやすい治療法ではありませんが、受傷した時に適切な対応がなされれば、良好な結果を得ることが期待できます。

お口や歯のけがをしたら、時間との戦いになりますから、すぐにかかりつけの歯科医を受診してください。

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