院長ブログ

知覚過敏症・歯科治療での金属アレルギー

知覚過敏症

むし歯や歯周病ではないのに、歯がしみたり痛みを感じたりすることはありませんか。知覚過敏という言葉はよく耳するとは思いますが、その原因やたいょ法については明確な情報が間提供されていないように感じます。今回は知覚過敏症に注目し、そのメカニズムや治療法について述べたいと思います。

歯の外側はエナメル質やセメント質という層により覆われています。その内側には象牙質と呼ばれる部分があり、象牙質のさらに内側には歯髄と呼ばれる歯の神経が存在します。知覚過敏症では、エナメル質あるいはセメント質の喪失により象牙質が露出したところに刺激が加わることで象牙質中の圧力が変化し、それが歯髄に伝わることで痛みを生じます。痛みを感じる刺激の原因には冷たいものを口にしたり、歯ブラシが歯にふれたり、冷たい風があたったりなどがあります。

エナメル質、セメント質を失う原因として、不適切なブラッシングやプラークの停滞、歯ぎしりやくいしばりなどの習慣、歯列不正、歯周病による歯肉の退縮などのさまざまな要因が絡まって生じる場合が見受けられます。

日本人の4人に1人が「歯がしみる」という症状に悩んでいるといわれており、歯科医師に相談を行っているのは、そのうちのほぼ半数しか無いと報告されています。しかし近く過敏症を放置しておくのは危険です。歯の神経に炎症が及んだり、ブラッシング時に痛みを感じるためプラークコントロールがおろそかになり、むし歯や歯周病の原因となる可能性があります。そのため知覚過敏症は放置せずシカイインでの対処を受けることが望ましいのです。

知覚過敏への対処法として専用の歯磨き粉の使用や生活習慣の見直し、ブラッシング指導を行います。置換過敏症に効果があるとされている成分として、フッ化物と硝酸カリウム、乳酸アルミニウムや塩化ストロンチウムがあります。歯科医院ではこれらを含む歯磨き粉を使用し、正しいブラッシング方法を指導します。しかしこれらの治療法にも限界があり、しばらく様子をみても効果が期待できない場合や、早急に患者さんの苦痛を取り除きたいときには露出した歯面へ近く過敏症抑制剤を塗布したり、歯とよく似た色の材料に寄る被膜や修復を行います。

歯がしみるのは知覚過敏症だけではありません。むし歯や歯周病、その他、炎症や破折によってもはがしみる、痛いといった症状があるため自分で知覚過敏症を診断するのはかなり難しく、歯科医院での問診や診査がが必要と考えられます。現在歯がしみるといった苦痛でお困りの方は歯科医師に治療法について一度相談してみることをお勧めします。

歯科治療での金属アレルギー

近年、歯科治療に用いる金属に対してアレルギー性疾患を発症される方が増えてきています。症状が進むと手のひらと足の裏に膿をもった発疹ができて再発を繰り返す、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)などが発症します。軽度な場合は皮膚の発赤、かゆみ、発疹等のアトピー性皮膚炎に似た症状を呈しますが、口腔内にはびらんなどの粘膜炎が発症します。

また、花粉症のように過去に症状がでなかった場合でも、突然症状が出てくる場合もあります。アレルギーを起こしやすい金属ですが、ニッケル、コバルト、クロム、亜鉛等のイオン化しやすい卑金属がアレルギーを引き起こしやすいと言われています。一般的に貴金属の金、プラチナ、パラジウム当はイオン化しにくく金属アレルギーを起こしにくい金属です。

前述の自覚症状等があれば一度皮膚科を受診し、歯科で使用する金属のパッチテスト(皮膚反応試験)をされるとよいでしょう。治療法はアレルギー反応の出なかった金属に変えるか、もし全ての金属にアレルギー反応が出た場合でも、金属以外の合成樹脂やセラミック等の材料があります。現在ではその種類も増加し小さな詰め物をはじめ、部分的なかぶせ物や全体を覆ったかぶせ等も、歯の状態によって材料を選択し治療することが可能です。従来使っていた歯の土台の材料も、金属を使わずに100%化学繊維のファイバーポストという材料によって作る事も可能になってきました。

しかし、口の中の金属を除去しても、症状が軽減するまでに数カ月かかると言われています。いずれにせよ、頻繁に原因不明の皮膚症状が認められる場合は一度、皮膚科と同時に歯科の受診をお薦めします。

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