院長ブログ

咬耗(こうもう)とは?・酸蝕症(さんしょくしょう)とは?

こんにちは。守口市 泉田歯科医院 歯科医師 院長の泉田です。今日のテーマは「咬耗(こうもう)とは?・酸蝕症(さんしょくしょう)とは?」です。ご参考になれば幸いです。

咬耗(こうもう)とは?

永久歯は12歳ごろに生えそろい、寿命を全うするまで数十年間働き続けることになります。その間、何もトラブルを生じなければ一生を通じて28本の歯を保つわけですが、むし歯や歯周病、外傷などの病変に侵されると、最終的には歯を失ってしまうこともあります。幸い生き残ることができた歯も長年使い続けると、いろいろと変化が生じてきます。

変化の一つに歯がすり減っていく咬耗という現象があります。すなわち、硬い歯であっても長年にわたってこすれ合うことで少しずつすり減ります。これは必ずしも病変とは言えず、加齢現象とも考えられます。すり減り方の程度は人それぞれ異なりますし、原因の違いで異なることもあります。

原因としては、まず歯ぎしりが考えられます。すなわち、歯ぎしりは睡眠中に生じる非常に強い力による上下の歯のこすれ合いですから、それによって歯の表面が少しずつ削れて行きます。その場合、天然の歯同士ではなく、相手が人工材料の歯の場合はすり減り方が異なる場合があります。ことにセラミックスのようにきわめて硬い材料に対しては天然の歯の咬耗が顕著に生じることかあります。

物を食べる時の咀嚼運動で咬耗することはほとんどありませんが、特殊な例としてオーストラリアの先住民であるアボリジニは砂混じりの食物をそのまま食べる習慣があったため、彼らのほとんどに著名な咬耗が観察されました。咬耗に対する処置は程度に応じて考えます。非常に顕著な咬耗の場合は歯の表層部のエナメル質が削れて無くなり、内層の象牙質が露出します。そうなれば、知覚過敏やむし歯になったり、嚙み合わせの高さが低くなって顎関節機能障害を乗じることもあります。そのような傾向が認められる場合にはひどくならない家に人工材料で修復する必要が生じます。

しかし、ごくわずかな咬耗の場合は徳に処置の必要性はなく、経過観察すればよいと思います。そして、咬耗が進行しそうな場合はナイトガイドというプラスチック製のマウスピースを就寝時のみ装着し、歯ぎしりによる咬耗を予防すればよいでしょう。「咬耗」が心配な方は主治医にご相談ください。

酸蝕症(さんしょくしょう)とは?

酸蝕症とは、歯が酸によって溶かされてしまうものです。現在、多くの食物や飲料に酸が含まれており、その酸と歯が接触すると歯の表面のエナメル質が一時的に柔らかくなります。その軟らかい層は、だ液などに触れて再石灰化することがなければ、脆弱化するとともに、歯みがきの際の損傷によって簡単にすり減らされていきます。そして、これが長期にわたると母が少しずつうすくなっていきます。一度失われたエナメル質は再生されません。

歯と酸が接触する原因としては、酢、オレンジなど柑橘系の果物、ドレッシング、炭酸飲料などの食物のほかに、嘔吐による胃酸の逆流、酸を吸う工場での酸性のガスの吸引、ビタミン剤やアスピリンといった酸性薬剤によるものなどが挙げられます。原因は他にも考えられますがいずれにしてもいきなりではなく、日常的に歯が酸にさらされ、それが再石灰化のスピードを上回った場合に少しずつ歯が溶かされ、酸蝕症が発生します。

典型的初期兆候として、エナメル質が薄くなるにつれて、色の濃い象牙質が透けてやや黄色く見える歯の色の変化、歯の異常にへこみや溝の形成が挙げられます。さらに症状が進行すると象牙質を露出させる可能性があり、知覚過敏症の原因ともなります。非常に重篤な症例では、毛派の神経を取り除くことや、歯を抜くことが必要となる場合もあります。

しかし、多くの患者さんは、自分の習慣が歯の損耗に関係していることに気付いていません。ですから、酸蝕について知ることが第一の対処法です。つぎに、歯を酸から守る重要な役割を果たすのがだ液です。だ液には歯を守る力があり、酸の中和と歯の表面の再石灰化を促します。十分に給水し、口中の唾液の量が減らないようにしましょう。酸を多く含む食品・飲料は長く口の中に入れず、素早く飲み込むようにしてください。飲んだ後は水やお茶ですすぎ洗いをしてください。

また、柔らかめの歯ブラシで優しく歯みがきしましょう。歯磨き剤の中には酸によって溶解したエナメル質表層の再石灰化を促進するようなものもあり、これらは酸蝕により軟化した歯質用に開発された低研磨性のもので、すり減る速度を減弱させます。硝酸カリウムにより歯がしみる症状も防ぎます。しかし、それでも大きく歯がへこんだり、溝ができてしまった場合は、かぶせ物や詰め物などによる治療が必要に成るかもしれません。

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